羅漢(らかん)さんのお話(全校)
2025年4月6日 08時00分 これは、余土小学校の正門に佇む小さな石像たちのお話です。
しかめ面の顔や見つめる顔、こまった表情にふくれっ面の表情・・・正門前の二十九体の石像はいったい何でしょう。どれも違った表情をしています。おじぞうさんではないようです。これは「羅漢(らかん)さん」といわれるものだそうです。羅漢さんとは、お釈迦様のお弟子さんのことで、一つ一つ違った表情をしているそうです。懐かしい人の面影に必ず会えるともいわれています。では、だれが何のためにつくったものでしょう。
気になっていろいろな人にお話を聞いてみるうちに、以前、余土小学校に勤めていた校長先生が朝会で羅漢さんについてお話をしていたことを思い出しました。そこで、退職された校長先生に連絡をとると、次のようなことを教えていただきました。
余土小学校の羅漢さんのお話は、昭和54年にさかのぼります。当時、果樹栽培の指導をしていた余土に住む方と、趣味で羅漢さんをほっていた方とのつながりがきっかけだそうです。ふたりの出会いは、中島です。余土の方が家族とともに中島へ栽培指導に行き、その下宿先が羅漢さんをほっていた方の家ということでした。みかんのお話、中島ならではのお話など、親交を重ねたふたり・・・、栽培指導の役目を終えて余土に帰るとき、その方の娘さんが入学する余土小学校へ記念として、たくさんの羅漢さんを寄贈していただいたということでした。
退職された校長先生から、その他にも余土小学校の懐かしいお話をたくさん聞かせていただきました。取材をさせていただくことで、羅漢さんのお話までたどりつくことができました。
40年以上が経過した今日も、子どもたちは、正門前の羅漢さんに見守られ元気に登校しています。1日のうちで、子どもたちは様々な表情を見せてくれます。まるで羅漢さんのようです。たくさんの人との学校生活の中で、うれしいことばかりでないかもしれません。でもそれは全て、小学校のうちに経験しておきたい大切な表情です。子どもたちの顔をみていると、「本当にがんばっているなあ。」と思うと同時に、そのがんばりをプラスに変えてあげられるようにとの思いを強くします。
余土と中島に住むふたりのつながりから生まれた羅漢さんのお話のように、余土小学校、そして余土のまちにはたくさんのつながりがあります。
「やる気です 元気いいです 余土よい子」
先生と子ども、子どもと子ども、親と子ども、そして地域のみなさん。余土小学校では、そんな出会いを大切に、笑顔つながる学校づくりに取り組んでいます。今年も、元気いっぱいのあいさつで、たくさんの人との出会うことができることを願っています。
(令和5年度取材)