研究授業⑦(3年2組)
2025年12月15日 08時00分 11月19日(水)2時間目に研究授業⑦を行いました。算数科「計算のじゅんじょ」で「数量の関係に着目し、乗法の結合法則が成り立つことを理解するとともに、その法則を用いて計算することができる。」をねらいとして学習を進めました。
授業冒頭で、問題文「①のぼりぼうと木と校しゃの高さを比べました。②のぼりぼうの高さは3mです。③木の高さは、のぼりぼうの2倍です。④校しゃの高さは、木の5倍です。⑤校しゃの高さは、何mですか」を提示しました。問題文を模造紙で5段に分けて示したことは、児童の思考の整理に役立つ工夫の一つです。その後、児童とのやり取りの中で、3つの挿絵(のぼりぼう・木・校舎)を左から順に黒板に掲示し、問題文にラインを引きながら、※のぼりぼう(3m)の2倍は木(□m)、木の5倍は校舎(□m)を整理しました。挿絵を用いた丁寧な説明は、児童に問題場面を具体的に捉えることにつながりました。10倍(2倍の5倍)から計算する方が簡単であること、「まとめてかける」ことに気付かせることがこの問題のポイントとなります。
ここで児童に「どのような考えで解きますか。」と投げ掛けました。※黒板にある矢印で結ばれた3つの挿絵を用いて、今までにもしたことのある方法「じゅんにとく」「まとめてとく」を引き出した点は、その後の2つの方法で解く、一つの式にして比べるといった、明確な意図の表れだと感じました。ワークシートに黒板と同じ(※)ようにまとめさせたこと、「じゅんに」「まとめて」の2つの解き方を書くスペースがあったこと、2つの式をくらべて気が付いたことを書くスペースがあったことも工夫の一つです。
自力解決の場では、「A:じゅんに(①3×2=6 ②6×5=30)」、「B:まとめて(①2×5=10 ②3×10=30)」と、自分の解きやすい方法から解いており、多くの児童が2つの方法で答えを導き出すことができていました。自力解決が難しい児童に、図(※)と高さを示すメモリの入ったヒントカード1を渡したことは、指導の個別化と言えます。
その後の全体発表で、AからBの順に発表させ、それぞれの考え方の良さを捉えさせました。10×3=30(10倍の3m)では、いけないことを押さえたことは、式の意味を考えさせる上で大切な指導です。日頃の学習の足跡が見えました。
この後、本時のめあて「一つの式にかくには、どのようにすればいいのだろう。」を提示しました。協働的な学習の場面は、授業中盤のこの場面です。「おにぎりタイム」を設定し、個人→グループ活動→全体の流れで問題解決を進めました。
個人で考える場では、順に解く方法「a:じゅんに(3×2×6=30)」を表す児童が多くいる中、まとめて解く方法「b:まとめて(3×(2×5)=30)」にも気付く子どもも見られました。
ペアでの考える場面では、「そんなやり方もあるんだ。」、「そっちの方が簡単だね。」といった声が聞かれるなど、対話的な学びが自然に成立していました。ペアで互いの考えを伝え合う場を取り入れたことは、「自分の考えをどう伝えるか」を意識することにもつながっています。
その後の全体発表で、aからbの順に考えを整理しました。上のA・Bの①・②が下のa・bのどの部分に あたるか番号①・②を示しながらまとめたり、どこ(かっこ)から解くことを確認したり、丁寧に学習を進めました。特に、(かっこ)の位置で計算の順番が変わることに注目させた点は、見事でした。活動の中で、児童は、2つの式の違いに気付き、「どちらがやりやすいか」、「なぜその順番がいいのか」について、自分の姿で説明しようとする姿が見られ、児童の数学的な見方の育ちを感じることができました。
その後、本時のまとめとして「( )を使うと、まとめてかける考え方を一つの式に表すことができる。計算するじゅんじょを入れかえても答えはお暗示になる。」を提示し、練習問題を解くよう促しました。手が止まる児童に声を掛けたり、一人ひとりの考えに丸を付けたり、温かい声掛けの中、丁寧に机間指導する姿が印象的でした。
ふり返りでは、「( )がある方が簡単だと思いました。なぜなら2×5=10がやりやすいからです。」、「じゅんにより、まとめての方が計算しやすいと思いました。」といった言葉を聞くことができました。本時のねらいにつながる発言です。
児童は、「分かった」「できた」という手ごたえをつかんでいます。丁寧な授業づくり、児童に寄り添った問題解決等、たくさんの学びのある研究授業でした。