研究授業⑤(4年2組)
2025年12月9日 08時00分 11月5日(水)3時間目に研究授業⑤を行いました。道徳科「雨のバスていりゅう所で」で、「約束やきまりを守るために大切なことを考え、約束やきまりを守ろうとする意欲を養う。」をねらいに学習を進めました。
「雨のバスていりゅう所で」は、主人公のよし子が、先にバス停の雨宿りをしていた人たちの列を追い抜いて一番前に行くが、母親に静かに連れ戻され、無言の母親の姿を通して自分の行いをふり返る物語です。「C 規則の尊重」について考える道徳教材で、集団生活における相手や周りの人の立場を考える大切さを学ぶことを目的としています。
授業では、事前にとったアンケート「身の回りにある約束事やきまり」を提示し、本時のめあてに対する方向付けを行いました。この場面で、アンケートを、A:自分や家のきまりとB:学校や社会のきまりに整理しました。児童は、「ろうかを歩く。」、「ゲームは1日〇時間」など、結果を見ることを通して、約束やきまりを守ることができていないという現状を実感することができました。
そこで、本時のめあて「約束やきまりを守るために大切なことは何だろう。」を提示し、場面ごとの挿絵を黒板に貼りながら、教材文全文を読み進めました。
まず、「よし子が停留所で先頭に並ぶ場面」では、「よし子は、どのような気持ちで先頭にならんだのだろう。」と投げ掛けました。全体発表では、「席に座るために、早く乗りたい。」、「お母さんの分も席を取りたい。」、「時間がかかる、先頭の方が早かった。」など、多くの児童の声を聞くことができました。
その後、この場面で心情メーターを活用し、主人公の気持ちを考えさせました。児童は、円形の表示板を手に、よし子の行動の良し悪しを、「心(ハート)」の色で表しました。提示している様子から、「よし子の行動は良い(赤)」と「悪い(青)」と迷う児童の様子を感じることができました。どちらかと言うと、赤(自分の行動が良い)が多い傾向が見られました。
次の中心発問にあたる「だまって立っているお母さんの顔を見て、よし子はどんなことを思ったのだろう?」でも、心情メーターを活用しました。こちらの場面では、青(悪い)が増えています。自作の「心情メーター」で、自分の考えを直観的に表現することができるようにしたことは、話合いの活性化や児童の多角的な話合いにつながったと考えます。
この場面で「おにぎりタイム」を設定しました。「おにぎりタイム」の視点は、「同じところ、違うところを探す。」です。まず、ワークシートに「よし子」の気持ちを記入し、その後、ペアの話合いに移りました。「自分の意見をしっかりと伝える。」、「相手の発表をうなずきながら聞く。」など、活発に意見を伝え合う様子に感心しました。全体の発表でも、「不思議、なぜお母さんは、私を止めたのだろう?」、「しなければよかった。雨宿りの順番で並ぶべきだった。」、「先に乗るべき人がいた?」など、よし子が思い悩むたくさんの意見が出ており、「おにぎりタイム」で話し合ったことが、自分の考えを広げたり、深めたりすることにつながる場として有効に働いたことが分かりました。「同じ人」、「違う人」と、発表をつなぐ投げ掛けもよくできていました。
切り替えしの発問で、「よし子は、何に気を付けるとよかったのだろう。」を問い掛けた場面は、見事でした。「周りの人のことを思って行動するとよかった。」という、児童の発言がそれを物語っています。事前のアンケートをふり返った部分も素晴らしいと思いました。よし子が守れなかった約束は、心で感じるきまり「マナー」に当たります。アンケートにも出てきた、書いてあるきまり「ルール」と比較することを通して、児童は、相手意識をしっかりともち、周りの人のことを考えて行動する大切さに気付いたのではないでしょうか。
授業の終末では、「今日の学習を踏まえ、これまでの生活をふり返り、今度、どのように生活していきたいか考えよう」と問い掛け、考える場を設定しました。ワークシートには、児童が自らの生活をふり返り、考えた様子が具体的に記されていました。授業の中で、自分で考えたり、友達の意見を参考にして考えたりする中で、自分事として考えを深めることができたいたことが分かります。
最後に、先生は、「使った場所は、来たときよりも美しく」という学生時代のサッカー部の経験を説話として用いました。「次の人のことを考えて」とのまとめは、相手意識の大切さ伝えることにつながったと思います。
先生と児童とのつながりを感じ取ることのできる45分でした。児童一人ひとりの心情を多面的にとらえており、授業の中で存分に引き出すことができていました。心情メーターの活用など、新しい授業づくりにも前向きに挑戦する姿勢に感心した研究授業でした。